リマから来た男
『リマから来た男』ジョン・ブラックバーン(創元推理文庫)

細菌学者マーカス・レヴィン卿は、交通事故で死んだ男の血液の中に生化学の法則に反する奇妙な微生物を発見した。折しも世界各地で暗殺が相次いでいた。イギリスの対外協力相、アメリカの下院議員、イタリア人技師、国際的な金融業者等、殺された者は、みな南米の某共和国となんらかのつながりがある。しかも、その国には謎の微生物が棲息しているという。レヴィン卿は英国政府に調査をすすめたが、なぜか拒まれ、内乱にあえぐ共和国へ妻とともに乗り込んだ。ブラックバーンが「モダン・ホラーの第一人者」という評価をかちえた傑作スリラー!(本書あらすじより)

初ブラックバーン。『小人たちがこわいので』で有名な人ですね。最近は論争海外ミステリからも数作出ていたはず。
読もうとして、ふと、あれこの人どういうジャンルを書く人なんだっけと思い、あらすじを確認してみたんですが、これがどうもよく分からないじゃないですか。「モダン・ホラーの第一人者」という評価をかちえた「傑作スリラー」だから、え、ホラーなのスリラーなの?という。
読んでみて分かったのですが、どうもこの作者はジャンルの壁をめちゃくちゃに横断するようなヘンテコな話を書く人のようです。トンデモ小説ですよ、もはや。未発見の細菌が……みたいのはSFだし、細菌によって人が死ぬんだからパニック小説だし、暗殺事件なんかはスパイ小説だし、共和国に乗り込んで革命に巻き込まれるあたりは冒険小説だし、という感じ。個人的にはもう面白いとか面白くないとかそういうの超えてます。な、なんだったんだこれは……っていう気持ちの方が強いですよ、ほんと。

マーカス・レヴィン卿(他の作品にも登場するらしい)が謎の細菌(すごくやばい感じで人を殺せる)を発見して、その原産国らしいヌエヴォ・レオンという共和国に調査のために行く、という部分までは分かります。こんなもの放置されてたら人類にとって大ピンチですからね。この細菌がどうやら何者かによって利用されていて暗殺とかが起きているらしい、というところまでもかろうじて分かります。
ところが共和国につくなり革命発生、危険に巻き込まれるのをさけるため船に乗って逃走しつつ最近の原産地らしき場所に向かうと、「リマから来た男」に襲われ……になるともうわっけわっかりません。リマから来た男は何してんですか。あと革命はなんだったんですか。いやもう色々と突っ込みどころが多くてこう。
ただ、意外とプロットが崩壊しているという印象がないのは不思議です。このトンデモ小説をあくまでジャンル横断的なエンタメにブラックバーンが確かな腕でもってまとめ上げている……というより、力技だと思うんですが、それでも読んでいて「な、なんかすげぇぞこれ」と思わせられちゃうんですよね。こうなると他の作品が気になってくるのです。

というわけで、いずれまた読んでみるということで。きっとまた変な話なんだろうな……。

書 名:リマから来た男(1968)
著 者:ジョン・ブラックバーン
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 473(Mフ-24-3)
出版年:1974.08.09 初版

評価★★★☆☆
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