ナポレオン・ソロ⑧/ソロ対吸血鬼
『ナポレオン・ソロ⑧/ソロ対吸血鬼』デイヴィッド・マクダニエル(ハヤカワ・ミステリ)

男は走りつづけた。凍てつく寒気のなかを、汗びっしょりになって。泥のような疲労が、毒でも浸みとおるように五体のうちにひろがっていく。男は精も根も尽き果てたといった格好で、マツの根かたに腰を落とした。数分のあいだ息を殺して、耳をそばだてた。やがて、彼は音を聞いた。ざわざわいう奇怪な音。なにか巨大なけものと思われるものが、茂みを押しわけ、突進してくる。なにかが闇のなかに、彼を追ってくる。……ついに、その足音をすぐ背後に聞くことになった。そして突然、小径の前方には巨大な黒い影が……。
アンクルのウェーバリー部長は、ジェネヴァから届いたばかりの至急電報を見て、顔をしかめた。ニューヨークからブダペスト支部に出張中のアンクル機関員─ソロやクリヤキンの同僚のカールが謎の死を遂げたことを伝えていたのだ。中央ルーマニアで発見されたその死体の喉に、針で突いた程度の小さな痕以外、外傷は何もなかった。しかも死体には一滴の血も残っていなかった! いったい何者? はたして、ルーマニアに伝わる吸血鬼伝説のその吸血鬼が現実に現われたのか? ソロとクリヤキンは、彼等の名誉にかけて、急遽ルーマニアに飛んだのだが……! 恐怖のどん底に叩き込む戦慄のソロ・シリーズ第8弾!(本書あらすじより)

うわぁ……久々に超くだらないものを読んじまったぞ……。
ナポレオン・ソロ、ドラマは見たことないので全く知らないんですが、マクダニエルによるオリジナル小説は結構出来がいいと聞いたので、試しに買っていたやつを読んでみました。ちなみに自分が持っている奴はこのカバーが付いていないやつです。
で、読んでみましたが、これはあーまりにくだらないですわ、さすがに。吸血鬼が登場して血を吸われた死体が見つかってスパイが戦うって話だからそもそもストーリーからしてしょぼいのに、主人公が全く魅力的でないし、行動もバカっぽいし。マクダニエル信用していいんだろうな、おい。

ルーマニアでナポレオン・ソロの所属する組織アンクルのスパイが血を抜かれた状態で死体となって見つかります。ソロと相棒のイリヤは現地に乗り込みますが、ソロの態度は何が吸血鬼だバカかという感じ。ところが窓から何かが現れたり飛び去っていったり狼の軍団が襲って来たり吸血鬼が姿を消したりといろいろ起きます。ついにソロとイリヤとヴラド公爵の子孫だという男と誰か女の人はそのヴラド公爵のものだった城に忍び込みますが……という話。

終始なめくさった態度のソロにイライラします(こいつ一回でも活躍したっけ)。それに引き替え相棒のイリヤはかっこいいな……。常に真面目でちょこちょこ活躍する頼れる相棒。テレビシリーズで人気が出たわけです(相棒の)。
ネタバレすると(いいよね)、吸血鬼なんてものは存在しなくて、悪の組織が企みのために作り出してたってオチなんですが、このトリックがもう怪人二十面相以下のくだらなさですよ、いやほんと。その悪の組織も敵対するスパイに対して妙にアマアマだから、脅すばっかりで結局勝てず(どこの二十面相だ)、最後もすげぇ雑に負けちゃうしいいのかこれで。

それにしてもこんなにプロットが雑でだらだらストーリーでいいんですか……やはり欧米でもテレビシリーズ原作のオリジナル小説のクオリティは低いのでしょうか。という疑問を残しつつまたマクダニエルをいつか読みます。今度こそ頑張れ。

書 名:ナポレオン・ソロ⑧/ソロ対吸血鬼(1966)
著 者:デイヴィッド・マクダニエル
訳 者:多田雄二
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 976
出版年:1967.03.31 1刷

評価★★☆☆☆
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