パーフェクト・マッチ
『パーフェクト・マッチ』ジル・マゴーン(創元推理文庫)

嵐の去った早朝、湖畔で女性の全裸死体が発見された。遺体は最近莫大な遺産を相続した未亡人ジュリアと判明。その前夜、被害者を車に乗せ、そのまま姿を消した青年クリスが犯人と目されている。しかし、この事件には些細だが、辻褄の合わない点が多すぎた。ロイド警部とジュディ・ヒル部長刑事のコンビが不可解な事件に挑む。英国本格推理期待の俊英、ジル・マゴーンのデビュー作。(本書あらすじより)

あけましておめでとうございます! 更新頻度もいい加減な適当ブログですが、今年もよろしくお願いします。
毎年恒例のベスト10ですが、えーまだ決まっていないのと、ベストテン入りする作品の感想をまだ書いていないというのがあるので、もう少しお待ちください。

というわけで、元日も普通に更新です。現代英国本格作家のジル・マゴーン。しばらく翻訳が止まっていますが、もう紹介はないんでしょうか。って自分も読むのこれが初めてなんですが。本書はデビュー作に当たります。
男女関係を基軸に少ない登場人物内で犯人捜しを行う警察官もの、という非常に現代英国風の謎解きシチュエーションに、クリスティー的なトリックを組み合わせた、いわば王道を継いだ王道。人間関係、トリックは良いんですけど、全体的に読ませる力が足りないのが課題点でしょうか。

夫婦が3組と男がいて、不倫と不倫があって殺人事件があって、というベッタベタな展開です。殺人現場から男が逃亡するところが目撃されますが、当のその人物は森の中に行方をくらましてしまいます(読者は最初からその人物の行動を知っており、犯人でないことも知っています)。

捜査はもっぱら容疑者たちの尋問で展開するのですが、それに終始しないで、様々な目撃者やあがってくる証拠についての検討がなされながら話が進みます。まぁごく普通の開放型現代英国本格ミステリですね。時折逃亡した男の章が挿入されるのが、変則的と言えば変則的。
まずこの男が捕まるまでが長すぎます。長い上に、男が逃亡した意味が話の中でほとんどなく、前半はなんだったのと。ただ長編を持たせるだけの要素にしか思えないし、結局この逃亡野郎が捕まっていろいろ証言を聞くと、わりとすぐ犯人逮捕につながってしまうのでなおさらそう思えてしまうのです。
ただ、この証言や、指紋などの証拠から、ロジカルに犯行の全貌と犯人の仕掛けたトリックを暴く終盤はさすが。かなり手がかりが多いのでうすうす分かる人も多そうですが、それでもこれは立派に本格ミステリをやってますし、この点については文句ないかな。クリスティーっぽいトリックでした。

ちなみにこのシリーズ、主人公が男性警部と女性部長刑事という組み合わせ。この2人、階級に差こそあれほぼ対等で、推理力も同等。さらにお互い結婚生活が上手くいっておらず、自然自然とくっついていく、なんて展開も。こうして2人は一線を越えつつ(越えるんかい)捜査……いいイチャミスじゃないですか。

正直全体の構成としては無駄が多くややまだるっこしいので色々改善点はあるんですけど、キャラクターやトリックでしっかりと読ませてもいるので、そこそこ良い本格ミステリだったかな、と思います。次作はもちっと上手くなっていることを期待。あとマゴーンはノンシリーズの『騙し絵の檻』の評判が一番いいですよね、そちらも読まないと。

書 名:パーフェクト・マッチ(1983)
著 者:ジル・マゴーン
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mマ-11-1
出版年:1997.06.27 初版

評価★★★☆☆
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