ゴーストマン 時限紙幣
『ゴーストマン 時限紙幣』ロジャー・ホッブズ(文藝春秋)

48時間後、120万ドルの紙幣は爆発する。盗んだやつらはそれを知らない。爆発する前に奪回するのが私の仕事だ。現在と過去、二つの大仕事はいかに決着するのか? 精密なプロット、クールな文体、非情な世界観。英米のミステリ賞やミステリ・ランキングを席巻した25歳の天才による驚異のクライム・ノワール。今世紀もっともカッコいいノワール・ヒーローの登場。(本書あらすじより)

今年の新刊の中でも話題作だと思うんですよ、これ。年末ランキングでも上位に食い込みましたし。
犯罪小説として王道的な面白さとかっこよさを兼ね備えた作品。悪人は悪人らしく悪事を働けばそれでよいのです、それだけで読ませるのです。だから、別につまらなくはないんですが。
ただ、うーん、色々な人と話しているうちに整理出来てきたんですが、これってそんなべた褒めするほどかなぁ?っていうのが正直なところです。欠点が目につくんですよ、結構。ノワール、って聞いて期待したほどほどパンチは効いていないし、終盤の展開もまっすぐすぎるし、過去のエピソードの大したことない感じも気になるし、現在と過去を交互に書いた意味何なのってのもあるし、ゴーストマンの命なんて何とも思ってないぜっていうあの場面のいきなりなんだそれはダッサってのもあるし、ラスボス雑魚いし、存在意義がいまいちな登場人物もいるし、なんでしょうね、この練り足りなさは。

現在の時間では時限紙幣の話(あらすじにあるやつ)が語られ、合間合間に過去にゴーストマンがミスしたとあるどでかい取引が語られる、というもの。全体的に現在よりも過去の方が、オーシャンズ11的な面白さがあって好きですね。過去のパートがゴーストマンの人格形成とか依頼人との関係を示すだけで、特に現在軸と接点がなく、その失敗の書き込み自体も足りないのは惜しいです。
それで時限紙幣を盗み出して行方をくらませた強盗事件の犯人を探し、そのついでに2つの犯罪組織のボスを相手にゴーストマンは立ち回るわけですね、犯罪者らしく。脅しに屈せずばったばったと容赦なく敵を殺していくゴーストマンさんさすがなんですが、この辺も単調でちょっともったいないかな。そしてこの立ち回りが実に頭使わない解決なのは微妙。

FBI捜査官なども要素として絡めていて、悪くはないんだけど、出っ放し、という感じで生かし切れなかったなーという印象。色々頑張っていて好感は持てるので、次作以降もっとプロットに工夫が生まれることを期待したいです。まぁ、単にゴーストマンのかっこよさを味わうだけならこれでもいいのかもしれないけど、俺はもっと作りこまれた犯罪小説が読みたいのよ、ストーリーもキャラクターも。

書 名:ゴーストマン(2013)
著 者:ロジャー・ホッブズ
出版社:文藝春秋
出版年:2014.08.10 1刷

評価★★★☆☆
スポンサーサイト