わらの女
『わらの女』カトリーヌ・アルレー(創元推理文庫)

翻訳の仕事をする知的で打算的なドイツ人女性ヒルデガルデ、34歳独身。彼女が見つけた新聞の求縁広告は〈莫大ナ資産アリ。ナルベクはんぶるく出身ノ未婚ノ方、家族係累なく……〉というものだった。こうしてすべてが始まった。そして彼女は億万長者の妻の座に。しかしそこには思いも寄らぬ罠が待ち受けていた。精確無比に組み立てられた完全犯罪。ミステリ史上に燦然と輝く傑作。(本書あらすじより)

フランスミステリ固め読み中。ついに初アルレーっすよ。というかいまさらこんな名作を読んでいるようじゃ先が思いやられるな。
いまさらですが、これは確かに面白かったです。傑作。話はベタで、ジジイをだまして金をぶんどろうとするも……みたいなありがちなサスペンスなのですが、単純に読ませるし、ラストの色々な意味での強烈さはすごいです。21世紀にこの古臭いミステリがどこまで頑張れるか期待したいですねー。

悪女ものとして紹介されることが多い気がしますが、主人公は、金のためなら愛がなくても結婚くらいちょろいぜ!みたいにお金好きをちゅうちょなくアピールしているというだけで、現在ではそれほど悪女っぽくはないと思います。むしろこれは巻き込まれサスペンスなんじゃないですかね。
大富豪と結婚するための様々な工作が、実に簡潔に、最小限度のエピソードでしっかりと読ませていきます。このシンプルな書き方が面白いし読ませるし、何より作品の雰囲気全体を支えているんです。要所要所で主人公の緊張感など心理描写をさっと挟んでくるのもうまくて……うむむ、これ倒叙でもあるのか。
そして(当然)途中から犯罪計画が狂いだします。ここから先は前知識なしで、中高生のうちとかに読むのが一番いい気がするので語りません。が、しかし、このシンプルさはすごいですよ。綺麗に伏線を回収しながら主人公の恐怖をしっかりと描き、そしてこのラストにためらいなく突っ込んでいくのです。

でもこういうストーリーが今でも古典として読まれて、一定の評価を得られるわけじゃないですか。すごいですよ、『わらの女』は。物足りないと思わせないんですから。むしろ現代では一周回って新しい気すらしますし。やっぱり海外ミステリの普及的には、こういう作品にはずっと生き残っていて欲しいなぁと思います。

書 名:わらの女(1956)
著 者:カトリーヌ・アルレー
出版社:東京創元社
     創元推理文庫Mア-5-1
出版年:1964.08.30 初版
     1997.12.05 64版
     2006.06.30 新初版

評価★★★★★
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