死神を葬れ
『死神を葬れ』ジョシュ・バゼル(新潮文庫)

「病院勤務は悪夢だ」挨拶がわりに僕らはこう言う。研修医の地獄のシフトじゃ睡眠時間は当然不足、疲労は無限。クスリでもキメなきゃやってられない。しかもその日の入院患者が最悪。マフィアのそいつは知られてはならぬ僕の過去を知っているのだ――。疾走感抜群の語り口で病院内部と裏社会の暗黒面を鮮やかに描き、驚愕の結末が全米の度肝を抜いたメディカル・スリラー、上陸!(本書あらすじより)

新潮文庫ミステリチャレンジ第五弾。オールタイムベスト級から離れて、近年のマニアの間でちょっとだけ話題になった作品です。
ブラックユーモアに満ち満ちた医療ミステリ……で終わることを期待したのに、主人公の過去が次第に語られていくマフィア物要素が途中から強くなってきて、結局なんかそこそこという感じで終わっちゃいましたね。結末ものけぞるようなものと聞いていたのにそれほどでもなかったし、ストーリー自体はどこかで見たような感じだし。

お医者さんのクソみたいな一日という医療物と、マフィアのクソみたいな人生というマフィア物を融合させた、という点が一番見所でしょう。ってのは良いんですが、だんだん比重がマフィアに寄りすぎて(そりゃそうなりますけどね、小説なんだから)、最後だけ強引に医療物に戻した感じがよろしくないのです。お仕事話なら何でもよかったじゃん、別に医者をむりやりフィーチャリングしなくても良かったじゃん、と。もちろん、主人公が医者ならではの終わり方ではあるんですが。
そしてまー何が腹立つって、お医者さんパートがめちゃくちゃ面白いことなんですよね。病院に来れば誰かの不手際で患者がベッドの上でさっそく死んでいる、みたいな世界。ブラックユーモア炸裂、クソみたいな患者と医者と病院相手にクソみたいな仕事をする主人公がとにかく面白いし読ませます。だから序盤は本当に面白いんです。ところがせっかくそれを楽しんでいたのに、いきなり夜に生き始めちゃって、なんかもったいないんですよ。

ま、そういうわけなので、期待していたのとはなんだか随分違ったなぁという感じ。面白いんですが、自分はこういうのが読みたいんじゃないだなと。

書 名:死神を葬れ(2009)
著 者:ジョシュ・バゼル
出版社:新潮社
    新潮文庫 ハ-52-1
出版年:2009.08.01 1刷

評価★★★☆☆
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