心ひき裂かれて
『心ひき裂かれて』リチャード・ニーリィ(角川文庫)

精神病院を退院したばかりの妻がレイプされた。夫のハリーは犯人逮捕に執念を燃やすショー警部補に協力する。そんなハリーを嘲笑し、陥れようとするかのように、その身辺で続発するレイプ事件。心病める者の犯行か……。だが、ハリーも、かつての恋人との間に決して妻には知られてはならない秘密をつくろうとしていた――。二転三転する展開と濃密な心理描写。サイコ・スリラーの元祖、ニーリィの最高傑作!(本書あらすじより)

角川文庫ミステリチャレンジ第六弾です。これでおしまい。いやぁ有名作を読みまくりましたねぇ。
さて、初ニーリィ、ニーリィの代表作です。古典的なサイコ・スリラーとして有名な作品(なのか?)。今となってはそれほど意外でもない真相1の後に待ち受ける衝撃の真相2に目ん玉が飛び出るほど驚きました。いやはや、これは確かに強烈ですね……ただ、さすがに長すぎだったかなと思います。

連続レイプ魔という、深刻なわりに切迫感のない事件だけで話を500ページ近く引っ張るのは少々つらいのです。もちろん、レイプ魔探しだけで話を持っていくのには限界があるので、主人公が妻を殴ったの隠すためにレイプでっち上げたんじゃね?と疑われる展開もあったりするんですけど、それも中盤からなあなあだし。奥さんのメンヘラっぷり(入院レベルのメンヘラ)も序盤のキレが薄れていってこれまたなあなあで。
要するに、序盤のイヤーな感じが持たないんです。これがもったいなくって。娘がレイプされた過去を持つがゆえに犯人逮捕に向けて異様な執着を持つ警部補とか、奥さんのメンヘラ治療をする精神科医とかをもっと生かせばよかったのかなと。いや、彼らは彼らで大事な役どころなんですが。

とまぁ少なからず(個人的には)退屈だったんですが、終盤の怒涛の会話劇(良い)の後に待ち受けるラストのぷぎゃーさには度肝を抜かれました。い、いやぁ、これは確かに名作レベルのすごさ。こういう驚き方はあんまりしたことがない気がします。これの伏線を仕込むために長かったんですねこの話は……。
とはいえ読んでいる途中は全然心が踊らなかったので、やはり超面白かったよとは言い難いですかねぇ。もう少しサスペンス度を高めてくれたら良かったのにと思います。いや十分サスペンス度高いんですけどね。難しい。

1月の角川文庫ミステリチャレンジ、6冊読了で無事終了です。初ケンリック、初レンデル、初シューヴァル&ヴァールー、初フォーサイス、初トレヴェニアン、初ニーリィでした。有名作中心に読むんだからアベレージがそもそも高いのがこのチャレンジの良いところです、いやほんと。
この6冊の中でトップ3をあげるなら、1位トレヴェニアン『夢果つる街』、2位トニー・ケンリック『バーニーよ銃をとれ』、3位マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『笑う警官』でしょうか(ケンリックは好みど真ん中だったからむしろこれ1位でもいいけど、さすがにどうかと思ってやめました)。さて2月は新潮文庫の予定です。どれになるかお楽しみに。

書 名:心ひき裂かれて(1976)
著 者:リチャード・ニーリィ
出版社:角川書店
    角川文庫 ニ-3-3
出版年:998.09.25 初版

評価★★★☆☆
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