百万ドルをとり返せ!
『百万ドルをとり返せ!』ジェフリー・アーチャー(新潮文庫)

大物詐欺師で富豪のハーヴェイ・メトカーフの策略により、北海油田の幽霊会社の株を買わされ、合計百万ドルを巻きあげられて無一文になった四人の男たち。天才的数学教授を中心に医者、画商、貴族が専門を生かしたプランを持ちより、頭脳のかぎりを尽して展開する絶妙華麗、痛快無比の奪回作戦。新機軸のエンターテインメントとして話題を呼ぶ“コン・ゲーム小説"の傑作。(本書あらすじより)

新潮文庫ミステリチャレンジ第四弾。海外のコン・ゲーム小説といえばこれでしょうってくらい有名な作品です。例によって初アーチャー。
株の詐欺で計百万ドルを騙し取られた四人の男が、四つの計画で百万ドルを取り返そうとする(まさか四回も罠をしかけて合計百万ドルをとり返そうなんて計画とは思いませんでしたね……)、安心して読める軽めのコン・ゲーム。洒落た映画に調度良さそうで、小説としては傑作というより楽しいって感じでしょうか。

数学教授、画商、医者、貴族の四人がそれぞれ自分のプロフェッショナルを活かして計画を立てていきます。何しろ一冊の中で四回騙すので、一冊通して大きな騙しをするというような大掛かりなものではありません。『オーシャンズ11』とはワケが違うのです。だからあんまり失敗しないし、緊張感も少なめ。そのぶんユーモアは多め。
しょっちゅうセリフやシチュエーションで笑わせてきますし(これは英より米っぽい雰囲気な気もしますね)、ドタバタとしたコメディっぽさすら感じます。洒落たオチや(解説読んじゃダメ)ちょっとしたどんでん返し(これも小洒落てる)など、軽快な娯楽小説の王道でしょう。楽しかった、くらいの感想がぴったりです。

ま、そういうわけなので、名作と身構えることなく、リアリティとか結局あれはどうなんだとかややこしいことも考えずに、流れに身をゆだねてのんびり読みましょう。英国の中流上流階級の方々が詐欺に勤しむ姿を笑って見ていりゃいいのです。なおさら映画向きですね。映画版は……まぁ気が向けば見るかな、というくらい。

書 名:百万ドルをとり返せ!(1976)
著 者:ジェフリー・アーチャー
出版社:新潮社
    新潮文庫 ア-5-1
出版年:1977.08.30 1刷
    1986.04.25 22刷

評価★★★★☆
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