キラーバード、急襲
『キラーバード、急襲』ウィリアム・ベイヤー(ハヤカワ・ノヴェルズ)

ニューヨークにヤバイ男が現れる。彼はハヤブサに若い女性を襲わせ、殺戮の限りを尽くすのだ。偶然巻き込まれた女性ニュースキャスター、パムの運命やいかに?必死で犯人を追うジャネック警部補は殺人を食い止められるか?そして日本から来たクマタカ使いはどうなる?(適当なあらすじ)

えーなんというか、ここまでアホな小説は久しぶりに読んだ気がします。表紙からしてまずアホっぽさが炸裂していますが。
とにかく話の内容は上記の通り。ハヤブサを使って人を殺す連続殺人犯が登場するという時点で既に意味が分からないというか、もうバカ丸出しのデビュー作としか言いようがないです。「エイック、エイック、エイック」という狂暴な啼き声をたてる怪鳥が現れ、スケートリンクにいた女性を襲うんですよ。キラーバードですよ。大爆笑ですよ。ひたすらツッコミを入れながら読みましょう。
基本的にオーソドックスなシリアルキラー物なのですが、あまりにバカバカしいし、読んでいて粗がかなり目立っているのがしんどいです。正直、何でこれがエドガー賞を取ったのかさっぱり分からないんですよねぇ(そうなんですよこれMWA長編賞なんですよ)。あくまで色物なので、うぉっハヤブサとか何それ気になる!って人だけ読めば今となっては十分でしょう。

突っ込みどころはたくさん。そもそも犯人がなぜ女性を襲うのかがよく分かんないし、ジャネック警部補がパムに惚れるのも何か都合いいし、話の7割近くを埋める鷹狩裏話とパムのテレビ局事情が非常にどうでもよくて退屈だして、とにかく欠点は少なくありません。日本から来たクマタカ使い・ナカムラとハヤブサのバトルとか、まぁめっちゃ楽しいですが、尺のばし的に感じられるのもまた事実。長編としてきれいに収まっていないのです。はっきり言ってそんなに面白くはないかなぁ。
犯人の正体は早々と明らかにされるのですが、これがそれほどマイナスポイントとなっていないのはちょっと意外。むしろ犯人側の様子をしっかり描けて良いんじゃないでしょうか。ハヤブサが女性を襲う場面は全体的にワケわからなすぎて超絶楽しく、殺人が行われるたびに読者のテンションが高まるので、まぁ部分部分で盛り上がるお話ではあります。
そして終盤、そんな上手くいくかよという感じで犯人の思惑通りにことが運んでいきます。ジャネック警部補は必死で犯人を追った後、衝撃的な場面を目にすることになるのですが……いやぁ、これは、結構びっくりしました。マジかようげげ、と唐突に話が終わっちゃうのです。良いかどうかはともかく。最後の最後まで頭のおかしい小説なのでした。

仁賀克雄さんによると、「日本ではそれほど評判にならなかった」らしく、『すげ替えられた首』以降注目されるようになったらしいです。というか『すげ替えられた首』は面白いらしいんです。ジャネック警部補ものということで、えっシリーズなのというマジかよ感も強いので、いつか読んでみたいですね。そういや扶桑社の『現代ミステリー・スタンダード』でもじゃネック警部補ものが1つ取り上げられていましたね……そんなに有名な作家だったの?

書 名:キラーバード、急襲(1981)
著 者:ウィリアム・ベイヤー
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ノヴェルズ
出版年:1984.12.15 初版

評価★★☆☆☆
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