暴力の教義
『暴力の教義』ボストン・テラン(新潮文庫)

1910年、メキシコ革命前夜。犯罪常習者のローボーンは武器を満載したトラックを強奪してひと儲けを企むが、あえなく捕縛されてしまう。弁護士の仲介で合衆国捜査局との取引が成立し、ローボーンは若き捜査官ルルドによるメキシコ情勢の内偵に同行することとなる。だが、実は二人には共有する過去があった――。血煙渦巻く国境の荒野を舞台に、鬼才による“悪の叙事詩”が炸裂する!(本書あらすじより)

また一週間ぶりの更新……どんどん感想を書いていない本が溜まっていきます。もうすぐ年が変わってしまうというのに。
そこでですね、今日から一週間、毎日読書感想文を更新することにしました。なんとか年内には、年内に読み終わった本の感想文を全部書いちまおう、というわけですね!今のところ15冊ほど感想を書いていないのがあるので……が、頑張ります……。

さて、初ボストン・テラン。「暴力の詩人」と言われているらしいですが、なるほど、確かにこれは詩人かも。そう思わせるだけの、淡々とした叙情性を文章から感じます。
あらすじでは伏せられていますが……まぁ、言っちゃって構わないよね、捜査官ルルドは、殺し屋ローボーンの息子なのです。二人はルルドが小さい頃に離別してしまったのです(まぁ、ローボーンが父親としてどうしようもないクズだった、ということです)。ルルドは会ってすぐ、ローボーンが父親だと気付くのですが、ローボーンは全く思い出せず、ただのガキだと思っている……というわけですね。本作は、この二人が出会って以降、どういう運命をたどったのかを描く、壮大な叙事詩なのです。

あらすじに起こしてこれほどつまらない話もないですが、実際に読んでこれほど引き込まれる話もないですよ。ルルドは、ひどい父親であったローボーンを恨んでいるわけですが、共に旅をしながら、彼からいろいろと学んでいき、「父親」としてのローボーンを意識し始めてしまう、というわけ……うぅん、なんて静かで、それでいて熱い感情の戦い、葛藤なのでしょう。
親と子の、ずれた、すれた、軽快かつ皮肉な会話が読者すべてを虜にしていきます。ベタな展開と至高の文章が途方もない読書体験を生み出しているのです。いやぁ、これはおっもしろいですよ。最後なんかもうめちゃくちゃ泣かせる展開ですし。

……と言うとベタ褒めなんですが、ぶっちゃけそこまで何が何でも大好きというわけではないかな、と。星4だけど星5には絶対にならない作品なんですよね。うぅん、難しいな、なぜだか説明出来ないんですが。正直、途中でちょっとだけ飽きちゃったのかもしれません。淡白な文体に引き込まれはしたけど、最後までもたなかった、というか。
正直、この作品の、自分の中での位置づけがいまだによく分かりません。ただ、テランの他の作品もぜひ読んでみたいと思わせる魅力は確かにありました。最高傑作と名高い『神は銃弾』、これはぜひ読んでみたいところ。

書 名:暴力の教義(2009)
著 者:ボストン・テラン
出版社:新潮社
    新潮文庫 テ-24-1
出版年:2012.9.1 初版

評価★★★★☆
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