ネロ・ウルフの事件簿 アーチー・グッドウィン少佐編
『ネロ・ウルフの事件簿 アーチー・グッドウィン少佐編』レックス・スタウト(論創海外ミステリ)

アーチー・グッドウィンは陸軍情報部の少佐だった? あのネロ・ウルフがダイエットに挑戦? 戦時色濃厚な四つの難事件を収めた「ネロ・ウルフの事件簿」第3弾!特別付録「ウルフとアーチーの肖像」も収録。(本書あらすじより)

しばらく3月まで更新ペースがゆっくり目になると思いますが、ご了承ください。悲しいことにミステリ読んでる場合じゃない……。別に忙しいわけではないので、本の感想以外の記事でも書けたらいいなぁ。
さて、論創海外ミステリから出ていたネロ・ウルフ中編集も、第3弾でひとまず終了です。いやー今回も良かったなぁ。3つの中で一番楽しめたかも。
アーチー・グッドウィンが軍隊に所属し、愛国心あふれるネロ・ウルフが無償で軍に協力していた戦時中が舞台の4編(最後だけアーチーは軍をやめた後ですが)。中編集のコンセプトとしてはかなり面白いと思います。初っ端の「死にそこねた死体」がベストでしょう。
これで論創ネロ・ウルフはひとまず終了のようですが、今後も長編など出ますように。頼むぜ論創社様。

「死にそこねた死体」Not Quite Dead Enough(1942)
シリーズファン必読の作品です。本短編集でも断トツ。
軍隊に入ったアーチー。ドイツ兵殺すべしと突如運動に目覚めジョギングに励み頭脳を停止したネロ・ウルフ。探偵をやめてしまったネロ・ウルフに推理をさせるべく、アーチーはたまたま出くわした死体に自分の髪の毛やら指紋やらをベタベタ残し、わざと逮捕され、「ネロ・ウルフの助手 逮捕される!」という新聞の見出しを作らせます。
当然ウルフは激怒して拘置所に駆けつけ、「アーチー、お前の目論見は分かってるぞ」とブチ切れながらもついに探偵に戻り、一瞬で犯人を見つけつつ「くだらん。アーチー。いろいろ欠点はあっても、きみは人を絞め殺すような男でも、愚か者でもない」って言う話なんです。やばくない?
いや、ちゃんとミステリとしても面白いんです。事件の構図の見事さも素晴らしいんです。けど何よりこのアーチーとウルフの関係が最高で最高で。アーチーが入隊し不在の間ジョギングに励むウルフがアーチーのセーターを無断で借りたので、セーターはぐだんぐだんに伸び、久々に探偵に戻ったウルフがスーツを着ると痩せてしまったのでスーツがぶかぶかになってしまうとかさ。もうただのキャラ萌えです。アーチーはあれだけ女好きなのに決まった相手がいなくて文句を言いつつも結局ネロ・ウルフの助手をやっているあたり萌えざるを得ないぞ。

「ブービー・トラップ」Booby Trap(1944)
軍内部での不審死、および手榴弾による爆死事件を、ネロ・ウルフが調査します。
ウルフが軍に積極的に協力している様子も興味深いのですが、何よりウルフが時折見せる非情さが全面に出ているのが印象に残ります。謎解きは、まぁ罠をしかけて終わりなので今回は特になし。

「急募、身代わり」Help Wanted, Male(1945)
命を狙われていると訴える男がウルフのもとに現れ、すげなく断られた後に本当に殺されます。続いてウルフにも同じ脅迫状が……。
古典的なトリックなのに、ネロ・ウルフがそっくりのデブの身代わりを用意する展開が面白すぎて気付けないという、ユーモア・ミステリのお手本のような作品。伏線のさりげなさにも感心しました。
一番楽しいのは、ウルフが脅迫される中、アーチーが自分は海外に戦いに行きたいのでワシントンにいる中将と交渉しに行くと宣言し、それを聞いたウルフがめちゃくちゃ不機嫌になって意地悪をし、アーチーが出発を遅らせようか聞くとさっさと行けと怒り、結局アーチーはウルフが心配で戻ってくるところなんですけど、伝わるかこれ。

「この世を去る前に」Before I Die(1947)
闇市の王に娘絡みの事件を持ち込まれ、ウルフたちはギャングの抗争に巻き込まれてしまいます。
犯人はパターン的に分かりやすいので、それよりも抗争をウルフ(とびびるアーチー)がいかに抜け出すのか?というウルフの機転が見どころ。謎解き要素は少ないですが、ネロ・ウルフらしい作品です。

「ウルフとアーチーの肖像」(1949.09.15)
作者スタウトによる、ネロ・ウルフとアーチー・グッドウィンのキャラクター設定です。


原 題:Nero Wolfe Vintage Detective Stories : The Cases of Major Archie Goodwin(1942~1947)
書 名:ネロ・ウルフの事件簿 アーチー・グッドウィン少佐編
著 者:レックス・スタウト Rex Stout
訳 者:鬼頭玲子
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 182
出版年:2016.10.30 初版

評価★★★★☆
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ようこそ、死のパーティーへ
『ネロ・ウルフの事件簿 ようこそ、死のパーティーへ』レックス・スタウト(論創海外ミステリ)

美食やアメコミを題材にした三つの難事件を収録する第2弾! 日本独自編纂の傑作中編集。悪意に満ちた匿名の手紙は死のパーティーへの招待。神秘のベールに覆われた不思議な事件にネロ・ウルフが挑む。(本書あらすじより)

論創海外ミステリから出たネロ・ウルフ中編集2冊目です。中編3つ収録。前作よりも本格度の高い短編集で、いずれも素晴らしく面白かったです。依頼人を第一に行動する、というネロ・ウルフの私立探偵らしい特徴がよく表れた作品も多く、だからこそクレイマー警視との対立も際立ちます。やっぱネロ・ウルフは面白いねぇ。

ネロ・ウルフは解決シーンが長いことがひとつの特徴かもしれません。中編であっても結構な分量が割かれているけど、これはウルフが最後に関係者を集めて尋問をしながら最後の証拠固めを行なうためでしょう(真相には既に到達していることが多いのです)。このへんがちょっと後出し証拠推理っぽく思える理由なのかも。
『黒い蘭』を読んだ時に、もしかしてネロ・ウルフの面白さって本格+ユーモア+コン・ゲームなのかな?と思ったのですが、今回またその思いを強くしました。ウルフの証人・警察、さらには依頼人との駆け引き的な面白さがやはり際立つし、そのあたりで同時代のミステリとは一線を画しているように感じます。俺もいざとなったら雇いたいな……。
とはいえ、アーチ―のキャラクターと、アーチ―が動くというシステムを考え出した時点でレックス・スタウトはやはり天才。ベストは自殺に見せかけて置かれた銃がなぜか死後移動するという不可能趣味あふれる「翼の生えた銃」。初ネロ・ウルフ、という方におすすめです。長編なら『編集者を殺せ』をぜひ。


「ようこそ、死のパーティーへ」Cordially Invited to Meet Death(1942)

上流階級向けのパーティーの企画者、ベス・ハドルストンが、匿名の中傷の手紙の送り主を見つけてくれるようネロ・ウルフに依頼した。ハドルストン邸にはチンパンジーがうろつきまわり、ベスの関係者がうろつきまわっていた。しかしこの匿名の手紙事件は、やがて殺人事件へと発展してしまう。
前作「黒い蘭」の続編ではありませんが、引き続き黒い蘭が登場することでつながりがあります(もともとは同一中編集に収録されていたものです)。ネロ・ウルフの美食がらみの出来事が多く、特に南部出身で方言丸出しの娘がウルフ懸案のコンビーフ・ハッシュの作り方に示唆を与えるシーンなど爆笑。
本格ミステリとしては終盤の展開はお決まりでもあるんですが、そこをロジカルに詰めていること、および中編という長さであることで程よい意外性をもたらしています。

「翼の生えた銃」The Gun with Wings(1949)
自殺として処理された男の死亡事件の再調査をお願いしに、結婚目前のカップルが依頼してきた。矛盾した証言を抱えるふたりに業を煮やしたネロ・ウルフは、かなり強引な手段に出る。
自殺に見せかけて置かれた銃がなぜか死後移動する、という、一見不可能事件にも見えるものを説き明かします。容疑者のうそをつく心理を突き、事件を的確にほどいていくネロ・ウルフの手腕はさすが。決定的な証拠にはかけていますが、起こりうる解答を即座に導き出すのはさすがです。訳者あとがきにもありますが、定番ですがおすすめの一品でしょう。

「『ダズル・ダン』殺害事件」The Squirt and the Monkey(1951)
人気漫画の作者が、銃を家のものに盗まれたといって依頼してきた。アーチーはしぶしぶ家に乗り込むが、そこで殺人事件の容疑者となってしまう。
いまいち窓を開けた云々のミスや犯人特定のロジックが怪しいのですが、このように犯人にあてはまる条件を列挙して、証拠をあとで回収する、というやり方は安楽いす探偵らしいのかも。私立探偵免許を取り消されかけるほど追い詰められたウルフとアーチーが、依頼人たちを相手におお立ち回ります。犯人のラストが印象的ですが、それにしても個人的な関心から解決に乗り出すウルフを敵にすると勝ち目はありませんね。

書 名:ネロ・ウルフの事件簿 ようこそ、死のパーティーへ(1942~1951、日本オリジナル中編集)
著 者:レックス・スタウト Rex Stout
訳 者:鬼頭玲子
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 158
出版年:2015.10.30 初版

評価★★★★☆
ネロ・ウルフの事件簿 黒い蘭
『ネロ・ウルフの事件簿 黒い蘭』レックス・スタウト(論創海外ミステリ)

フラワーショーでの殺人事件を解決し、珍種の蘭を手に入れろ! 蘭を愛する美食家の名探偵ネロ・ウルフがもつれた謎を解き明かす。蘭、美食、美女にまつわる3つの難事件を収録した中編集。(本書あらすじより)

アメリカではトップ・クラスの人気を誇るも、日本ではいまひとつ、とよく言われる、レックス・スタウトの生み出した巨漢美食探偵ネロ・ウルフ。そのネロ・ウルフ物の中編集という、なんとも素敵なものが出たのですよ。論創やるな。いいぞいいぞ。
ネロ・ウルフとアーチー・グッドウィンという探偵の魅力と醍醐味が見事に詰まった中編集。これは企画の大勝利。ホームズ的な謎解きやアーチ―のひたすら楽しく笑える語り口などを、間延びせず中編という程よい分量で読ませてくれます。
3作品、どれも趣向が異なっていて面白いけど、ベストは「献花無用」かな。いやほんと、ネロ・ウルフってこんなに面白かったんだ、ということを再認識させてくれたというだけでこの本には大感謝したいところです。レックス・スタウトはやはり偉大なアメリカ人ミステリ作家なんですねぇ。

Black Orchids「黒い蘭」(1942)
フラワーショーに出品された超貴重な黒い蘭をウルフが手に入れた経緯とは。
ネロ・ウルフ物の面白さが見事に詰まった好編。アーチーのユーモアに満ち満ちた語り口に乗せて、トリックを用いた殺人事件(トリッキーではない)が本格風に解かれます(本格ではない)。
アーチーが女の子に惚れる→殺人事件が起きる→関係者がぞろぞろ集まる→ウルフが自宅で尋問する→ウルフが自宅で関係者を集めて謎解きをする、というラインがもう完璧。自分たちの利害を優先してアーチ―が駆け引きをし、雇い主であるウルフのために行動し、情報を集め、ウルフが解決、というのもいつも通り。中編という分量のせいで間延びすることなくこれが語られていきます。ちなみにウルフは今回フラワーショーのために家を出ます、珍しいです。
肝心の謎解きは相変わらず後出しというか、出たな調査員が調べて来た事実とやらで解決って感じですが、なぜかウルフの謎解きって雰囲気は本格っぽく感じられます。それよりラストが、この語り口のくせになかなかパンチが効いていますよね。やはりネロ・ウルフはハードボイルドでもあるんだなぁと思った次第。

Omit Flowers「献花無用」(1948)
友人のシェフの依頼で、ウルフはレストランチェーン女社長の夫を殺害した疑いで逮捕された元シェフを救おうとします。被害者家族は一同疑わしい状況で事件現場にいたことは分かっていますが、一致団結して口をつぐんでいる、という状況の中ウルフは謎を解くことに。
うぅむ、これは非常に面白いぞ。容疑者がほとんど証言をせず、証拠らしい証拠もほとんどない中で、ウルフは容疑者の態度や様子、心理状態のみで全てを推理するのですが、これは何ともネロ・ウルフらしい謎解きです。アーチーの機転も今回はきれっきれで、2人の共同捜査っぷりがよく伝わってきます。いい中編。
やっぱネロ・ウルフって、コンゲーム的というか、駆け引きを楽しむみたいなところは大きいですね。

Countefeit for Murder「ニセモノは殺人のはじまり」(1961)
ウルフの元に元美人だという貧乏くさい家主が現れ、家の中で見つけた大金を渡します。さらに、その家主の家に住んでいるという美人女優(見習い)やら、シークレットサービスやらが次々とウルフの家に現れます。
どちらかというとスラップスティックな味わいが楽しい作品。探偵の家に依頼人がやってきて怪しげな話を伝える、という導入は、まさにホームズっぽいところ(ネロ・ウルフはホームズの息子、なんて話があるんですよね)。このクセとアクの強い依頼人ハッティーがまぁアーチーやウルフや警部やその他大勢を振り回すこと振り回すこと。なにこのおばちゃん。でもこのラスト含めてハッティーかっけえのです。
謎解きは3編の中では一番ひねりがないというかストレートで、その分ハッティーを中心としたキャラクター劇で見せているなという感じ。このおばちゃんの引き出しの多さには恐れ入るね……。

書 名:ネロ・ウルフの事件簿 黒い蘭(1942,1948,1961)
著 者:レックス・スタウト
出版社:論創社
     論創海外ミステリ 130
出版年:2014.09.25 初版

評価★★★★☆
黄金の蜘蛛
『黄金の蜘蛛』レックス・スタウト(ポケミス)

その夜も、ピートは35番街と9番通りの交叉点で車の窓拭きに精を出していた。赤信号で止まった車に駆け寄り、ぼろ布で窓をひと拭き─運がよければ、10セントのチップをはずむ運転手もいる。だが、そのキャディラックは様子が変だった。運転席に坐った女は声を立てず、口をしきりに動かしてピートに訴えかけた─「助けて。警官を呼んで……」ピートが呆然としているうちに、異変に気づいた同乗の二人の男はピストルらしきもので女をこづき、車はそのまま走り出してしまった。女の頬にあったかすり傷と、耳につけた大きな金の蜘蛛のイヤリングの強烈な印象だけを残して……。
12歳の少年ピートが訪ねてきた夜は、たまたまネロ・ウルフの虫の居所がよくなかった。フリッツのつくったつぐみ料理が珍しく気に入らなかったのだ。ウルフとアーチーは、ピートの話をまともに聞きもせず少年を帰してしまった。そして翌日、ピートが車にはねられて死んだというニュースが伝えられた。しかも、少年をはねて逃走した車のナンバーは、昨夜少年がひかえておいたキャディラックのナンバーと完全に一致していた!貯金箱の4ドル30セントをネロ・ウルフへの依頼料に、と言い残して死んだ少年。蜘蛛のイヤリングをつけた謎の女をめぐる連続殺人に、美食と蘭を愛する名探偵ウルフと、その助手アーチー・グッドウィンが挑む!(本書あらすじより)

久々のネロ・ウルフです。この本、何度か版を重ねているのにそこそこいいお値段することが多いので、安く見つけられた方は買った方がいいかもしれませんね。自分は浜松の時代舎古書店にて300円で購入しました(という微妙な自慢)。
ちなみに『黄金の蜘蛛』は、日本で最初に紹介されたネロ・ウルフ物のようです。まぁ確かに、ポケミス177番ですし。2年前にアメリカで出た話題作を、ってところでしょうか。

良くも悪くもネロ・ウルフ物は非常に安定した面白さを供給してくれるなということを実感させられた一冊でした。ユーモアありアクションあり一同会しての謎解きあり。ただしネロ・ウルフはいくらアーチーの一人称私立探偵小説であってもハードボイルド的ではない、ということがまた分かる一冊でもあるのかな、と。
基本的にウルフの依頼料は法外な値段なのですが、今作のウルフは今までで最も安い依頼料で事件に取り組むことになります。相談に来た少年の死に突き動かされて独自に捜査を始め……という冒頭はめちゃくちゃカッコイイ。少年の死を聞く場面、母親が訪れる場面なんかもう超泣かせますよ。

……という冒頭なら、普通、少年の依頼に対して適当な態度を取ってしまったことを悔やみ、復讐のため捜査するネロ・ウルフ、ってなりそうじゃないですか。なりそうなんですよ、確かに、途中までは。ところが最終的には、その熱い動機がどっかに行ってしまうのです。これが実にもったいないんだなぁ。
結局のところウルフはなんかかんやでガッツリお金をせしめ、アーチーは軽口を叩き、本格ミステリとしても水準以上の出来栄え……という、いつものウルフ物なのです。せしめた金を母親にやるみたいな感動エピソードなんて当然ありません。終盤、少年のことがほとんど言及されないことがどうしても引っかかってしまうんです。冒頭の展開はあくまで魅力的な導入に過ぎない、ということなのでしょうねぇ。

面白いし、十分に楽しめたのですが、どうしても何か足りないなぁと思わずにはいられない一冊でした。ちなみに、思い出補正をかけまくっていますが、『編集者を殺せ』が今のところ一番好きです……という記憶はあるんですが。話はほとんど覚えてないけど。ってそもそもまだ5冊しか読んでませんでした。

書 名:黄金の蜘蛛(1953)
著 者:レックス・スタウト
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ポケット・ミステリ 177
出版年:1955.6.15 初版
    1985.6.15 3版

評価★★★★☆
『腰ぬけ連盟』レックス・スタウト(ハヤカワ文庫)

その日の新聞は作家チャピンの小説が猥褻か否かをめぐる裁判で賑わっていた。このチャピンこそネロ・ウルフが調査を依頼された事件─贖罪連盟なる団体のメンバーが次々と怪死した事件の鍵を握る人物だった。メンバーに送られてくる脅迫状はチャピンが書いたものらしい。彼の過去には脅迫を裏づける重大な理由が隠されていた。やがて連盟の中に新たな犠牲者が……(本書あらすじより)

原作出版はイギリス・1935年です。私立探偵ネロ・ウルフもの登場第2作にして、シリーズ代表作です。スタウト作品は、やっぱりネロ・ウルフとアーチー・グッドウィンのユーモラスな会話(アーチーの一人称で話が進みます)にかかってます。ウルフは体重が半端なく、体系が太りすぎのため、家でランの栽培をするだけで一歩も出ず、操作は雇われた探偵数人およびアーチーが引き受けることとなるのです。この探偵設定が非常にいいですよね。部下がとにかく走り回るわけで、そのなかでもアーチーは優秀なんだけどウルフをしょっちゅうからかったりと。スタウトの作品が読みたくなるのは笑いたい時ですね。

作品の内容はというと、冒頭からもうすでに2人死んでいるわけで、話の展開がどうなるのかは非常に楽しんで読めました。読んでいて、チャピンはやっぱり犯人じゃないんだろうなぁとは思いながらも、はたしてどのくらい関わっているのかが読めず、犯人がいるとしても動機も分からず、ミステリとしての出来もいいと思います。ただ、僕は、どうもこういうタイプより、純粋に犯人探しのスタウトの方が好きです。個人的には、オススメのスタウトの作品は『編集者を殺せ』で、完成度が高いんじゃないかと思います。『腰ぬけ連名』だって水準は高いんですけど。

ただし、今回読んだハヤカワ文庫では、アーチーの一人称が、ウルフに向かって話すとき「私」が使われていたのが序盤気になりました。やっぱ前読んだHPB(ポケミス)のスタウトみたいに、「僕」で統一してもらいたいなぁと思います。

書 名:腰ぬけ連盟
著 者:レックス・スタウト
出 版:早川書房
     ハヤカワ文庫 35-2
発 行:1978. 1刷
     2004.3.15 6刷

評価★★★★☆