13時間前の未来(上) 13時間前の未来(下)
『13時間前の未来』リチャード・ドイッチ(新潮文庫)

12時間以内に最愛の妻を殺した犯人を突き止めなければならない。13時間目には――。ニックは取調室にいた。容疑は妻殺し。彼女を殺すはずなどなかった。だが凶器の拳銃には自らの指紋。混乱するニックの前に謎の初老の男が現れ告げる。「きみには12時間ある」そして残された懐中時計……。第12章から始まり時間を遡る、異色かつ巧緻なタイムトラベル&タイムリミット・ミステリ。(本書あらすじより)

ドイッチって、面白い名前ですね。ちなみに主人公の名前はニコラス・クイン……コリン・デクスターじゃん!というのはひとまず置いといて。

なかなか面白いルールに基づくタイムトラベルです。要は一歩進んで二歩戻る、1時間経ったら2時間戻る、9時から1時間経ち、10時になると8時に戻る、というわけですね。つまり、主人公はいくら過去を変えようと、変える以前の過去に戻されてしまうので、ある意味やり直しがきくのです。うーん……悪用しようと思ったら恐ろしい時計だなぁ。

で、戻る度に事件の真相が明らかになっていくわけで、この経過はなかなか面白いです。特に上巻でしょうか。下巻は、結末に思ったほど捻りがなかったため、ちょっと期待はずれでした。
しかしとにかく読みやすいので、エンタメ小説として割り切って読むならばかなり楽しめると思います。暇つぶしにもってこいという感じでしょうか。正直、こういう本を手放しで褒めるとバカだと思われそうで嫌なんですけど(笑)

登場人物も、あくまで娯楽小説に徹するためか典型的なキャラクターばかり。分かりやすく善と悪の対決がなされるのみ。主人公の奥さんを愛する力にはとんでもないものがあります。どれくらいかと言うと、前日出張から帰って来てへとへとのはずなのに、夜の10時から12時間ぶっ通しで戦い続けられるくらいです(爆)

SFファンから見ると、設定に突っ込み所が多過ぎるようですが、自分はSFファンではないのでよく分かりません。ミステリファンから見れば、まぁそもそもミステリというかアクションに近いような気もするのですが、犯人達の計画に無駄が多過ぎるのはちょっと気になります。しかし、最後のオチは悪くないとしても、ほとんど捻らずストレートな展開で終わってしまったのはやはり残念です。

ところで、最終章である人物がある人物の命を救ったことがほのめかされますが、よく考えると、上手くいく方法が全然思いつかないんですが。まぁあくまで娯楽小説ですから(映画にもなるとか)野暮なつっこみはやめましょう。

すみません、あと1つだけ。「~じゃなかった」という訳語を地の文で使うのはやめて下さい。

書 名:13時間前の未来(2008)
著 者:リチャード・ドイッチ
出版社:新潮社
    新潮文庫 ト-23-1、ト-23-2
出版年:2011.3.1

評価★★★★☆
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