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シャーロット・アームストロング名言2

2019-09

『指名手配』ロバート・クレイス - 2019.09.14 Sat

クレイス,ロバート
指名手配
『指名手配』ロバート・クレイス(創元推理文庫)

私立探偵エルヴィス・コールは、最近妙に金回りがいい息子タイソンのことを調査して欲しいという、母親からの依頼を受ける。どうやら少年は仲間と裕福な家からの窃盗を繰り返しているらしい。警察に捕まる前に逃亡中のタイソンを確保し、なんとか自首させたいという母親。だが、コールの先回りをするかのように、何者かが少年の仲間を殺していた。そしてタイソンの身も危険が……。大評判となった『容疑者』『約束』に続く第3弾登場。(本書あらすじより)

『容疑者』『約束』に続く創元ロバート・クレイス。『容疑者』は警察官スコットと警察犬マギーが主人公、『約束』はクレイスの主要シリーズであるコール&パイクシリーズにスコット&マギーが登場するという作品でしたが、今作『指名手配』は純粋なコール&パイク物です。従って犬は出ません。
単純に、コール&パイクシリーズは楽しい、という感想に尽きます。軽口&頭担当とバトル担当という私立探偵コンビに、キャラ立ちし過ぎ超有能殺し屋コンビをぶつけたら、そりゃあもう面白いに決まっているじゃないですか、っていう。

連続空き巣強盗事件の犯人である非行少年たちを、差し向けられた殺し屋たちから守る、という、ある意味ひねりのないストレートな話。読者には最初からヤバい二人組の殺し屋の存在が明かされている中で、じわじわとコールが確信に迫りつつ、追うものと追われるもののサスペンスが展開されます。

殺し屋コンビがいいんですよ、本当に。徐々に二人の関係性が明かされ、唐突に過去エピソードが語られ(だがそれがいい)、無情なんだけどただただ有能で意外と繊細なキャラクターが、それはそれは魅力的に描かれていきます。脇役・端役に至るまで個性的なのは、クレイスの本領発揮、といったところでしょうか。
また、アクション要素も重要です。最新機器と頭脳を駆使し、死体をあちらこちらに転がしつつ、探偵と殺し屋が全力で潰し合う……果たして決着は?という話の時点で正直もう超楽しいじゃないですか。コールとパイクの無敵感・全能感ハンパないのに、きちんとサスペンスとして危機感が出ているのも良いです。

ただ……あくまでこれは個人的な意見ですが、すらすら読めるし、厚さは一切感じないし、最初から最後まで面白かった一方で、もう少し話が広がってもいいのに、とは思いました。『約束』と比べると『約束』の方が断然好きとは言っておきます(『指名手配』がつまらないとかではないですよ、誤解なきよう)。
やっぱりコール&パイクシリーズは素晴らしいので、全部読みたいなぁと思うのですが、新潮文庫のやつにしろ扶桑社ミステリーのやつにしろ、どんどんレアになっちゃってて半分くらいしか買えていないんですよね……どうしろっちゅうの。

原 題:The Wanted (2017)
書 名:指名手配
作者:ロバート・クレイス Robert Crais
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 ク-23-3
出版年:2019年5月10日 初版

評価★★★★☆
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『「独り残った先駆け馬丁」の密会』マーサ・グライムズ - 2019.09.13 Fri

グライムズ,マーサ
「独り残った先駆け馬丁」亭の密会
『「独り残った先駆け馬丁」の密会』マーサ・グライムズ(文春文庫)

雨にけむるデヴォンの森で、若い女の絞殺死体が見つかった。ほぼ一年後、同じ手口で再び若い美女が殺される。二つの事件の関連は? おなじみ警視ジュリーの執念の捜査が始まる。(本書あらすじより)

はい、感想を書くのが遅れているので、今頃8月の月一マーサ・グライムズ再読です。
10年前の高3だった頃に自分がこの本について書いた感想読んだら、思いっきり間違っていて恥ずかしくなりました。そうだ、これ最後がよく理解できなかったんだよね……最後誰が死んだかすら、当時よく分かってなかった感があります。
一種の「家庭の悲劇」的な事件としてはめちゃくちゃ面白いし、シリアスな雰囲気もピッタリ。ただ、謎解きミステリとしての面白さを完全に捨ててしまっているのが残念。また、各種シリーズキャラクターも生かせないまま終わってしまったように思えます。

自分の巻いていたスカーフで若い女性が絞殺されるという事件が発生。婚約者の男性が疑われるが、その男性の友人の女性は無実を信じ、元貴族メルローズ・プラントを通じてジュリー警視に捜査を依頼する。一方、一年前にも同様の事件が起きており、『「悶える者を救え」亭』でジュリーと共同捜査を行ったマキャルヴィ方面部長が執拗に真相を追っていた。果たして2つの事件の関係とは?

雰囲気は最高なんです。被害者の婚約者がその一員である、没落しつつある浮世離れした貴族一家の奇妙なつながり・結びつきの描き方とか超うまいし。また、初登場の星占い屋〈スターダスト〉は、またもグライムズは名キャラクター名店を生み出してしまったな、と思わせる素敵空間です。前作から登場しているジュリー警視の隣人、キャロル=アン・パルーツキーがここで大いに活躍することになるわけですね。
とはいえ、謎解きに深みがなく、というか進展も終盤までほぼなく(終盤は面白いけど、終盤までがつまらない)、中盤までは割と「なんでこれ読んでるんだ?」みたいな気分になっちゃうのです。読み物としては失敗かなぁ。

と思ってしまう理由は何かというと、謎解き面もありますが、登場人物を使いきれていないことが一番の原因ではないかなと。このシリーズはロンドン警視庁のジュリー警視、およびその友人である元貴族メルローズ・プラントのダブル主人公であり、彼らが別々に捜査していくことが見どころなわけですが、今作のプラントがまずもう全然使われていないのです。また、『「悶える者~」』で登場した名キャラクターであるマキャルヴィ方面部長も、強烈なキャラクターが上手く生かされず、正直出さなくて良かったかなという気もするし……。

比較的短めの悲劇系統の物語ということで、『「跳ね鹿」亭のひそかな誘惑』『「独り残った先駆け馬丁」の密会』と続いてきたわけですが、出来栄えは前者が圧倒的かなぁ。さて、次からは(記憶通りなら)傑作が3連続続くはず。

原 題:I Am the Only Running Footman (1986)
書 名:「独り残った先駆け馬丁」亭の密会
著 者:マーサ・グライムズ Martha Grimes
出版社:文藝春秋
     文春文庫 ク-1-7
発 行:1990.6.10 1刷

評価★★★☆☆

『イタリアン・シューズ』ヘニング・マンケル - 2019.09.09 Mon

マンケル,ヘニング
イタリアン・シューズ
『イタリアン・シューズ』ヘニング・マンケル(東京創元社)

ひとり離れ小島に住む元医師フレドリック。ある日彼の元に、37年前に捨てた恋人ハリエットがやってくる。治らぬ病に冒された彼女は、白夜の空の下、森の中に広がる湖に連れていくという昔の約束を果たすよう求めにきたのだ。かつての恋人の願いをかなえるべく、フレドリックは島をあとにする。だが、その旅が彼の人生を思いがけない方向へと導いていく――。“刑事ヴァランダー・シリーズ”の著者が描く、孤独な男の贖罪と再生、そして希望の物語。(本書あらすじより)

更新がまた滞ってしまったので、今週来週は頑張ります。めっちゃ感想がたまっているので。
恥ずかしながら実は初ヘニング・マンケル。本書はヴァランダー刑事シリーズではなく、ノンシリーズの、しかもどちらかと言うとミステリ寄りでもない作品です。
結局のところ最後まで独りよがりで、あえて言うなら悲劇の主人公ぶった胸糞老年男性の独善的一人称小説……であるように感じました(非ミステリと言っていいと思います)。小説としての完成度は高いのですが、孤独を気にしていなかった主人公が「動き出す」ことそのものに不快さがあって、あまりのれませんでした。

かつて恋人ハリエットを唐突に捨て、以来孤独に生きてきたフレドリック。周りの人間との関係を断ってきて、既に60を超えている彼のもとに、ハリエットが前触れなく訪れる。ハリエットは謝罪代わりに、彼の思い出の場所である湖に行くことを求めるのだが……。

ハリエットに導かれるままに、これまで友人づきあい、隣人づきあいを断ってきたフレドリックが、徐々に周りの人間との関わりを持って行くようになる話……とでも言うべきでしょうか。ハリエットを捨てた理由が本人にすら説明できず、要は何となく突然捨てた、みたいなものという時点で、フレドリックのクソ野郎っぷりが分かるというものです。
さて、第二部で主人公がある人物に会いに行くのですが、第一部が分かりやすい贖罪の旅であったのに対し、こちらは正直違うんですよ。ここで、『イタリアン・シューズ』は贖罪の物語でも何でもなく、ただの自己満足の物語なのでは……という可能性が読者に示されてしまいます。

つまりフレドリックは、若い頃から変わらず、今でもクソ野郎なままなのです。そういった人間であるという事実は、60を超えたからと言って、または誰かに出会ったからと言って、急に変わるわけでもありません。ある意味最後まで主人公は嫌なやつのまま、といのがすごくおそろしく感じられます。クリスティーかよ。
そういった主人公のイヤな面を、作者はあえてそういう包み隠さず描いているんですよね。終盤で主人公に向かって投げられる、「あなたは決していい人じゃない。いままでもいまも。とるべき責任をとらず、逃げてばかりいた。これからも決していい人間にはならなと思う」という言葉の真実っぷり。これは主人公が(あんまり)成長しない物語なのです。

なんというか、色々な意味で救いようのない話が合わなかったのかなぁ。とりあえず今度は、ヘニマンのミステリ寄りの作品を読んでみたいです。

原 題:Italienska skor (2006)
書 名:イタリアン・シューズ
著 者:ヘニング・マンケル Henning Mankell
訳 者:柳沢由美子
出版社:東京創元社
出版年:2019.04.26 初版

評価★★★☆☆

『カルカッタの殺人』アビール・ムカジー - 2019.08.30 Fri

ムカジー,アビール
カルカッタの殺人
『カルカッタの殺人』アビール・ムカジー(ハヤカワ・ミステリ)

1919年、英国統治下のカルカッタ。スコットランド・ヤードの敏腕警部ウィンダムは、第一次大戦従軍を経て妻を失い、倦み疲れてインド帝国警察に赴任した。右も左もわからぬ土地で頼みの綱は、理想に燃える若く優秀なインド人の新米部長刑事バネルジー。二人は英国人政府高官が何者かに惨殺された事件を捜査する。背後には暴動寸前の現地の憤懣と暗躍する諜報機関の影が……東洋の星と謳われた交易都市を舞台に、複雑な政情を孕む奥深い謎と立場を超えた友情が展開する、英国推理作家協会賞受賞の傑作歴史ミステリ。(本書あらすじより)

うーん、なんでしょう、つまらなくはないし、むしろ楽しいし、読みやすいし、1919年のカルカッタという舞台を余すところなく描いているし、謎解きミステリとしても複数の事件の絡め方とか面白いのに、すっごいもやっとします。エドガー賞も受賞した歴史ミステリなのに……なんでだ……。

1919年のイギリス。イギリス人による現地人支配が徹底して行われているベンガル地方のカルカッタで、政府の高官であるイギリス人が殺されるという事件が起きる。インドに配属されたばかりの、元スコットランド・ヤード勤務の優秀な警部ウィンダムは、インド人の部長刑事バネルジーと共に捜査に当たる。そこで浮かび上がってきたのは、利権獲得を目論むイギリス人と、支配に抵抗しようとするインド人の対立だった…。

主人公のウィンダム警部は、インドに来たばかりということもあり、基本的にイギリス人による差別的なインド人支配に対して否定的な立場を取っています。その一方で、たまに人種の壁を超えられていない支配者側らしい考えも示してしまい、バネルジーの指摘によりそれが浮き彫りになることもしばしば……というような人物。そんな彼のどっちつかずな立場が、最後まで曖昧なままなのが、本書のもやっとポイントその1です。
別に曖昧だからダメ、というわけではありません。主人公に超良い人になって欲しいわけでもないですし、なんなら最後までインド人に対する偏見をぬぐえない、みたいなネガティブなエンディングでも結構。そうではなく、彼の中途半端な態度が、中途半端である、と何度も示されているわりに、最後どうなったかが見えないまま終わってしまう、ということにもやっとするのです(お礼のくだりとか、絶対ちゃんと拾えたと思うのに……)。

もやっとポイントその2は、歴史ミステリとしてのブレ……というか。こういったネガティブな時代の書き方って、やり方としては、
①徹底して当時の人らしい考え方を持つリアルなキャラクターを描き、それに対し現代の視点を持つ読者が批判的に読めるようにする、というもの。
➁めちゃくちゃ現代的な考え方を持つ登場人物を出し、当時の在り方を作中で批判させる、というもの。
のどちらかだと思うんです。植民地支配を登場人物も作者も全肯定したまま書く、というわけにもいかないでしょうし。
ところが、本書はこの点がまた曖昧なのです。1919年という時代は、風俗描写としてもミステリとしても存分に生かされているのに、キャラクターが当時の考え方そのもので動いているのか、比較的現代的な考えのもと動いているのか、そこが分からないのです。何なら、インド系移民二世である作者のスタンスもよく分かりません。特に、インド人部長刑事バネルジーなんか、有能かつ献身的でありつつ遠慮がち、だけれども支配には否定的、でもイギリスの進歩的な教育も享受していて難しい立場にあり……というめっちゃ良いキャラなのですが、植民地支配に批判的であるはずの彼が最後なぜ留まるのかが謎。なんだかなぁ。

謎解きミステリとしては、様々な利権・対立関係のあるインド帝国という舞台を生かした真相で、こちらは好きです(もっと丁寧に暴いてくれてもいいのに、とも思いますが)。ただ、この手のミステリって、終わらせ方を上手くやってくれないと、どうしても茶番に見えてしまうんですよね。例えば真相がオープンに出来ないような事件の場合、どうにもならない事件をどうにもならないなりに、最後巧みに収束させてほしいな、と思うのです。「体制」が絡むミステリの落とし所ってすごく難しいよね、という話。

というわけで、『1793』と続けて歴史ミステリを読んでみたわけですが、個人的には『1793』の方が圧勝かなぁ。歴史ミステリのある種の難しさを感じさせられる一冊でした。

※ところで、部下のインド人部長刑事、サレンダーノット・バネルジーって、19世紀にインド国民会議の結成に関わった世界史に出てくるあのバネルジーだよね?と思ったのですが、本書の舞台は1919年なので、どうやら違う人……ということなのでしょうか。たまたま同じ名前、ってことはないよなぁ。

原 題:A Rising Man (2016)
書 名:カルカッタの殺人
著 者:アビール・ムカジー Abir Mukherjee
訳 者:田村義進
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1945
出版年:2019.07.15 1刷

評価★★★☆☆

『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ - 2019.08.22 Thu

ナット・オ・ダーグ,ニクラス
1793
『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ(小学館)

1793年――フランスでは革命の混乱が続き、その年、王妃マリー・アントワネットが処刑された。スウェーデンにもその空気は広がっており、前年1792年には国王グスタフ3世が仮面舞踏会の最中に暗殺されている。無意味な戦争と貧困にあえぐ庶民の不満と、王制への不信がマグマのように煮えたぎっていた。
舞台はそんな、混沌とした時代のストックホルム。秋のある日、湖で男性の遺体が発見された。腐食はしていないが、四肢は切り落とされ、眼球をくりぬれ、舌と歯も奪われ、美しい金髪だけが残されていた。結核に冒され余命幾ばくもないインテリ法律家と、戦場帰りの荒くれ風紀取締官がタッグを組んで殺人事件の謎を追う――。
現代の洗練された美しい都市とはかけ離れた、貧しく、荒々しく、混沌とした18世紀のストックホルムをスウェーデン最古の貴族の末裔が大胆かつ繊細に描く、重厚でスリリングで濃密な、大型北欧歴史ミステリー!!(本書あらすじより)

集英社が以前ビブリオバトルで今年一推しの本として紹介していた作品。何だかすごくグロいとか、汚いとか聞いていたので、読もうか迷っていたのですが、みんなが傑作だ!と断言する上に歴史ミステリだということなので、手に取ってみました。
結論から言うと、本作は超面白いエンタメでした。ひたすら重く苦しい時代が描かれるのですが、でもこれはとりあえず読み物としてめっちゃ面白いのです。今年の新刊の中でもかなりオススメしたい作品です。

舞台は1793年のスウェーデン。この時代のスウェーデンは、要は汚物を窓から流していましたみたいな不潔な近世が凝縮されまくった頃。かつ戦争は悲惨で、女子供に救いはなく、民衆は残虐さに狂い、地獄のように働かされる工場労働者が誕生しつつあるという、グロとゲロに満ち満ちた、近世と近代の狭間の圧倒的しんどい空間なのです。そんな中で、手足をもがれ、目を潰され、舌を切り取られた死体が見つかる……という話。

本書は四部構成になっていまして、第一部が1793年の秋、第二部が夏、第三部が春……と、殺人事件が発生する第一部から遡っていく叙述スタイルとなっています。ネタバレになってしまうので、第二部以降で何が描かれるのかをあまり説明できないのですが……。
作者はこの時代を余すところなく描き倒しているので、そりゃあもう重苦しい小説ではあるのは間違いありません。ただ、民衆の悲惨さや残虐な殺人を描きつつも、意外と、うーんなんというか、しんどくないのです。グロさを演出しようとして過剰にグロいわけではなく、不潔さとおぞましさを事実として示しているだけであり、さらにあくまでこの時代を描く上で必要なことを作者が取捨選択して描いているからでしょうか。

そして物語上、一番素晴らしいのがキャラクターとその使い方。探偵役であるヴィンゲと暴力担当カルデルのコンビは、汚職と不正に満ち淀んだ時代の中で、例外的に真実と正義を求めていきます。そんな彼らが、様々な抵抗にあいながら動き回るわけですが、この二人の一筋縄では行かない、けどとりあえず見ていて安心な活躍から目が離せません。これはいわゆる「名探偵もの」でもあるんですよね……作者のストーリーの作り方がすげぇ。
で、キャラクターの素晴らしさを語るなら、やはり第二部と第三部の主人公二人が核になってくるのではないでしょうか。この第二部と第三部は、殺人事件がなぜ起きたのか、という過去を描くためのものであり、もちろん物語上必要なものです。ただ、究極的にはこのパートの主人公二人は、探偵コンビが捜査している殺人や本筋にあまり関係がないのです。だけれども、あえてこの二人を絡ませ、そして救いを与えようとする作者……めっちゃ良い人。第三部のラストは震えるしかありません。この四部構成は天才的だと思います。

というわけで歴史ミステリとしても素晴らしい上に、単純にストーリーがバカ面白いミステリとしておすすめしたい作品です。本作、実は三部作で、『1794』『1795』と続いていくようなのですが、次作がどう続くのか、今から楽しみですね。

原 題:1793
書 名:1793
著 者:ニクラス・ナット・オ・ダーグ Niklas Natt och Dag
訳 者:ヘレンハルメ美穂
出版社:小学館
出版年:2019.06.10 初版

評価★★★★★

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ヨッシー

Author:ヨッシー
クリスティ、デクスター、グライムズ、ディヴァインが好きな、ヨッシーことTYこと吉井富房を名乗る遅読の社会人3年目が、日々読み散らかした海外ミステリ(古典と現代が半々くらい)を紹介する趣味のブログです。ブログ開始から9年になりました。ちなみにブログ名は、某テンドーのカラフル怪獣とは全く関係ありません。
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ヒラーマン,トニイ (2)
ピリンチ,アキフ (1)
ヒル,トニ (2)
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フィツェック,セバスチャン (3)
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